皆さん、こんにちは。今日はフランスの学校の避難訓練と子供へのテロ事件の伝え方のお話です。避難訓練とテロ事件の関係性とは?と思われるかもしれませんが、大きなカルチャーショックがあったからです。
避難訓練は火事などを想定して行うことはありますが、フランスにおいてテロや不審者の侵入・攻撃を想定して行うケースもあります。(学校によります)
確かに、悲しいことにフランスではテロが度々起きてしまうことがあり、学校での事件もよく耳にします。
訓練が大事とは言え、とても複雑な気持ちになります。
フランスで生きていくとはこういう言うことなんだなと。
確かに避難訓練なのだから、起きうる事態に備えないといけないのですよね。学校で取り組むことは大切なことなので、しっかり訓練してくれるのはありがたいのですが、子供にはどうやって伝えていくのが良いのでしょうか...。
日本の避難訓練の小学生くらいの時の記憶がありますが、大掛かりな滑り台から滑るってこともありました?よね?!
子供の避難訓練とテロ事件の現状の伝え方
フランスの避難訓練は保育園、幼稚園から実施されています。火事を想定したもの以外にもテロや不審者の侵入を想定した訓練も同じく行われます。
先日、幼稚園のフランス人のパパ友と話していた時に「避難訓練は昔もあったけど、火事を想定したものだけだった。テロを想定したものに関してはここ最近始まったみたい。ちょっとびっくりだよね」と言っていて悲しかなここ最近のフランスの情勢によるものだと知りました。
フランスのテロ避難訓練に飛び入り参加したことがある
息子が1歳の時に通っていた保育園でも避難訓練は実施されました。
1歳なので正直、子供たちはなんのこっちゃだと思いますが、まさかのその場面に遭遇して私も飛び入り参加したことがあります。w
息子を迎えに行ったタイミングでサイレンが鳴って避難訓練が始まってしまったので「○○のママも一緒に参加して!」と先生から言われ、おやつを食べていた子供達を先生たちと一緒に誘導することになりましたw
1歳児クラスの避難経路は【教室内おやつを食べるエリア】⇨【同教室内のお昼寝部屋】までの数メートルだけでした。かわいいw
一応急いで避難ということで先生が誘導したり、子供を抱えてみんなで移動し私も十数人の子供達について行くとお昼寝部屋に入った瞬間に先生が「みんな、静かに〜!!」と言ったので????
喋っちゃいけないので質問もできないし、(これはなんの訓練?)と一瞬思いました。
1分くらいできるだけ沈黙を保って、訓練が終わると「みんなよくできたね!ブラボー!!」みたいな楽しいノリに変わって終わりました。
先生が「突然のことだったのに参加してくれてありがとう」と言っていましたが、私は以前????のまま。やはり「テロ」を想定した内容だったと言うことを後から聞き、マジかーとなりました。子供たち絶対わかってないよな・・良くも悪くも。
テロが起きたことを子供にどう話すのか?
フランスでテロが起きてしまった際、どう子供に話すか?という話がまさかまだ子供が幼稚園児のうちに考えることになるとは思いませんでした。
わざわざ夫と事前に話し合ったことはなかったけど、当然「いや子供には話すべき内容じゃないでしょ」という考えは一致していました。
しかし、先日の学校でのテロ事件がフランスで起きてから、フランスでは学校がより厳戒態勢になり、迎えの際はいつもと異なる方法で子供を引き渡してもらうことになりました。(と言っても、引き渡し場所とが変わっただけで何か厳戒態勢だと感じるものはないw)
先日、息子の通う幼稚園では、パリからは遠い場所で起きた事件が理由で数日後に予定されていた課外活動にあたるプールの授業が中止になりました。(徒歩10〜15分くらいの市民プールまで徒歩で子供たちが行くため)
プールの授業中止の理由を子供たちが知った経緯
テロ事件が理由でプールの授業が中止になりその日、年長である息子のクラスの担任(兼園長)が子供たちに「どうしてプールの授業が中止になったか知っていますか?」と尋ねて話し合う時間を設けました。
子供たちの中には「学校で先生が殺されたからプールの授業がなくなった」
「海賊がプールに来たから授業が無くなった」など
(Vigipirate(厳戒態勢)、plan vigipirate(厳戒態勢レベル)という言葉からそう思ったのかな?親がテロを子供バージョンにして話したのか?)
様々な答えが出て、担任が実際に起きたテロ事件のことを子供たちのレベルに合わせた言葉で説明しました。
担任が『学校のバリアを越えて招いていない人が入ってきてしまった』と言った表現で説明したとのこと。
その夜、子供たちが親に「学校に悪い人が来て先生を殺した」「プールの先生が悪い人に殺されたからプールの授業がなかった」などと話したことで親がクラスで起きたことに対し疑問を抱きました。
同じように感じた親達がワッツアップグループで意見交換するきっかけになりました。
息子も「学校に悪い人が来て先生を殺したからプールの授業が無くなった」と迎えに行って開口一番に言ったのでかなり驚きました...。
こんなこと幼稚園児が話す話題なの?!?と。
息子とは詳しく話したくはなかったし、正直「この後どう答えるのが正解なのか」がよくわからない・・・。
その後は話題を変えましたが、私にとっても心地良いものではなく、どう知ったんだろう???と言うのが気になっていました。
しばらくすると、仲良しのママ友が「こんなこと言ってなかった?」とまさに息子が言っていた内容に対して驚いた様子で連絡をくれました。
親ワッツアップグループからPTAと学校へ
子供達にテロ事件のことを当然子供達へ話すべきではないと避けていた親が多かったようですが、子供たちの方から思わぬ暴力的なワードが出てきてしいまい驚いて私と同じように思った親たちが意見交換し合いました。
【子供達が自宅でなんと言っていたか】
・「クラスの友達が「学校で先生が殺された」と言っていたから知ったと言っていた
・先生がどうしてプールが中止になったかをみんなに聞いていた
・先生が学校に招いていない人が柵をこえて入ってきてしまったと言っていた
・なぜプールが中止になったかはわからないけど、悪い人が来て先生を殺したとみんなが言っていた
・先生が悪い人がどこから柵を越えて悪い人が入ってきたかを言わなかったから、どこにいるか分からず今日はずっと怖かった
など
⇨子供の様々な解釈があるにしても、なんとなく今日あったことが見えてきました。
【親の意見】
・子供には話すつもりではなかったからなぜこうなってしまったのか、親の誰かが担任と話してフィードバックしてもらうのはどうか?
・こんな話をするなんて馬鹿げている
・さすがに先生がこんなことを言うとは思えないけど、子供たちにはなんと伝えたんだろうか
など
家庭での話し合い
我が家では、夫が帰宅時にまた息子が学校での話し合いを思い出して話さないといけないのがとても嫌だと思い、ある程度私から状況説明した後に夫から「学校は守られているし、何か問題が起きたらすぐに駆けつけるから」と説明して話し合いはあまり行わず、寝かせることにしました。
(ま、毎日迎えにも間に合う時間に夫は帰ってきてないけどな〜と思ったけど言うのはやめておきましたが。w)
息子は特別恐怖心を見せているようなことはなかったですが、息子の仲良しの男の子は自宅でも恐怖心がまだ残っていたようで、こんなことあっていいのかと、とても悲しい気持ちになってしまいました。
その後PTAのママ友がグループ内で迅速に話し合い、PTAのリーダーが担任兼園長と話し合うことになりました。
(対応の速さが素晴らしかった)
学校側のレスポンス
・幼稚園の年長クラスには息子の担任のクラスにだけ「なぜプールが中止になったか」を子供達と話し合う時間があった
・子供達の解答はそれぞれだったが、担任から「招かない人が学校の中に侵入してしまい、事件が起きてしまったが、現在あなた達の学校は安全で子供達は守られていると伝えた」と伝えた
・担任は子供達のそれぞれの解釈(悪い人が先生を殺した、海賊が来てプールが閉鎖されたなど)があったが、それに対応したのみ
・もしプールの中止について話題に出さなければ、この問題(テロに関すること)について話すことはなかっただろう
・子供達は自分達の頭の中でそれぞれの解釈をしたり、家に帰れば時間の経過でまた違った解釈になることはあるでしょう
と言うものでした。親側の個々の意見はワッツアップグループ内で特に聞きませんでしたが、わかったことは子供達発信でテロに関する話題が出てきたわけではなく、先生自ら「話し合いの場」を設けた、と言うこと。
話題が出なければ、テロについて(暴力的な描写など)を話すことはなかっただろう、と先生自身が言っている矛盾。
とてももやっとするものでした・・。こんなことあっていいの!
テロが起きたことは子供が知るべきか?
仲の良いママ友とは「そもそも先生自らが話題に出すべきではなかった」と言う意見で一致しました。
クラスで話し合うことは教育の観点でも必要かもしれないけど、5歳児にとって話し合いの必要な話題ではなかったし、学校の対応がとても残念に感じました。
とは言っても、親や年上の兄弟などがいればテロがあったことなどを自然に耳にしてしまう5歳児やもっと小さいこもいるのは当然で、そういった子がクラスで発信する機会があればどちらにしろ同じような「話し合い」は起きていたのかもしれません...。
そうなると、家庭で親が説明した方がいいのだろうか??
子供なりの解釈が、不必要な恐怖心やトラウマを与えてしまう可能性は確かにある。
息子のクラスの中にも他の学校で起きた事件を自分の幼稚園の中で起きていることだと思う子もいるし、他の学校の先生の話が自分のプールの先生に置き換わってしまうこともある。
親の中にはそういった間違った情報を避けるために最近起きたテロ事件についてある程度何が起きたのかを5歳のお子さんに話したと言う人もいました。
しかし正直なところを言えば、今回のプールの中止は園児達にとって間接的にテロ事件に関係があったから話題に出てしまっただけであって、普段の生活の中で5歳の子供達が知らなくてもいい事実です..よね。
テロ事件が起きる世界の向き合い方
今回のことで、
・子供達が知らなくてもいい事情を知ってしまったこと
・子供達が暴力的な表現を使わないといけなかったこと
・子供達に不要な恐怖心を与えてしまったこと
など、とても悲しくて残念だったと終始感じました。
当然、大人もテロが起きることは不安や恐怖を持つし、子供が安全に過ごせる環境であって欲しいと思います。
でも大人はある程度背景にどんなことがあるからテロが起きてしまうのかだったり、最新の情報を調べて更新することができますからね。
親になると、本当に色々なことを考えさせられます・・。
本日もお読み頂きましてありがとうございました!
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