
みなさん、こんにちは。フランス在住のYocoです。
今日は、フランスの金利率の変動とそれによるメリット&デメリットについて書いています。
・預金金利3%(Livret A)がまた下がった
・金利はどうやって決まる?
・金利が下がるとどうなるのか?
難しい話はよくわからない!と思いつつも、Livret Aはフランスで口座を持つ人が必ず使っている最も身近なものかと思います。
フランスの現状と基本的な情報をまとめましたのでぜひご覧になってみてください。
- フランスの貯蓄口座(Livret A)金利は何%?お金事情
- 改定後の金利
- 利率引き下げの背景
- Livret AとLEPとは
- 金利が頻繁に変わる。どうやって決まるのか?
- ▶ 計算式(公式)
- 金利が下がることのメリットとデメリット
フランスの貯蓄口座(Livret A)金利は何%?お金事情
2025年8月1日より、フランスの代表的な貯蓄口座である「Livret A」と「Livret d'épargne populaire(LEP)」の金利が再び引き下げられることが正式に発表されました。
これはフランス銀行の提案に基づき、経済省が決定した措置です。
À compter du 1er août 2025 :
- le taux d’intérêt annuel du livret A est fixé à 1,7 % (contre 2,4 % entre le 1er février 2025 et le 31 juillet 2025) ;
- le taux d’intérêt annuel du livret d'épargne populaire (LEP) est fixé à 2,7 % (contre 3,5 % entre le 1er février 2025 et le 31 juillet 2025).
改定後の金利
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Livret A:1.7%(2025年2月〜7月は2.4%)
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LEP:2.7%(2025年2月〜7月は3.5%)
この改定は、インフレ率の低下を背景にしたもので、
政府は「物価上昇率が落ち着いた現在、計算式通りの利率とするのが妥当」としています。
利率引き下げの背景
Livret AやLEPの利率は、ユーロ圏の短期市場金利(EoniaやESTER)と消費者物価指数(インフレ率)をもとにした公式の計算式によって、半年ごと(2月と8月)に見直されます。
2025年前半のインフレ率は0.88%まで下がり、
これによりLivret Aの利率も、公式に則って1.7%へと下げられました。
一方でLEPについては、本来2.2%に下がる計算でしたが、政府は「生活困難層の支援」の一環として、特例的に2.7%に据え置くことを決定しました。
これはいわば「ボーナス措置」であり、今後の物価と経済情勢によって再調整される可能性があります。
Livret AとLEPとは
Livret A は、誰でも開設できる非課税の貯蓄口座で、元本保証があり、いつでも引き出し可能。フランス国内のすべての銀行で開設可能です。
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政府が運営する非課税の貯蓄口座
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誰でも1人1口座まで持てる
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利息は所得税・社会負担なし
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利息は国が規制で、全ての銀行で共通
- 利息は毎月1月1日に計算される (年利)
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預入限度額は22,950ユーロ(2025年時点)
Livret Aが使われる理由
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非課税かつリスクゼロ
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いつでも引き出し可能
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家族や子ども名義で開設する人も多い
➡ とはいえ、インフレ下では「増えない預金」になりがち
➡ 一部の層は「貯金の一部を投資へ分散」し始めている
LEP(Livret d'épargne populaire) は、一定以下の所得しかない世帯のみが開設できる貯蓄口座で、Livret Aよりも高い金利が設定されることが一般的です。こちらも非課税で、元本保証があります。
日本の金利と比較すれば、マシに見えてしまいますが随分と下がりましたね...!!!
金利が頻繁に変わる。どうやって決まるのか?
Livret Aの金利(taux du livret A)は、年に2回、1月と7月に見直される可能性があります。
見直しする機関:フランス銀行(Banque de France)
決定者:経済・財政省(Ministère de l'Économie)
▶ 計算式(公式)
Taux Livret A = moyenne du taux interbancaire à court terme (ESTER) + inflation moyenne sur 6 mois / 2
具体的には:
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ESTER金利(ユーロ圏の銀行間短期貸出金利)
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インフレ率(タバコを除く消費者物価指数の平均)
この2つの平均値をとって0.25%単位に四捨五入して設定します。
例:
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ESTERの平均:0.5%
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インフレの平均:1.9%
→ (0.5 + 1.9) ÷ 2 = 1.2%
→ 四捨五入 → 1.25%
2023年8月: 3,0% (インフレ率5%)
2025年2月: 2,4%(インフレ率2%)
2025年8月: 1,7%(インフレ率0,88%)
⇨インフレが落ち着けば、金利も下がるという流れがある
金利が下がることのメリットとデメリット
金利が下がると、どうなるのか?
一応悪いことばかりではないのでメリットデメリットを確認してみましょう。
メリット
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住宅ローンや企業融資などの借入金利が下がり、経済活動が活発になりやすい(借りやすくなる)
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インフレが落ち着いた証拠でもあり、生活費が安定する傾向
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政府の国債利払いコストが軽減される
デメリット
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貯蓄の利息が減り、実質的な資産形成が難しくなる
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特に高齢者や定期的な利息収入をあてにしている人には影響が大きい
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インフレ率よりも金利が低い場合、実質的な資産価値が目減りする
Livret AやLEPのような安全な貯蓄手段は、金利が下がった今でも、リスクを避けたい人にとっては重要な資産の一部です。
しかし、物価上昇や将来の資金計画を考えると、
一部を長期投資に回す選択肢も今後は検討する必要があるかもしれません。