みなさん、こんにちは。フランス在住のYoco(@yoco_paris)です。
今日は、ある意味記憶に残る演出だったパリオリンピック開幕セレモニーのお話しです。
開幕セレモニーではさまざまな演出がありましたが、
一部の演出に対して批判が殺到し、異例の大会組織員会IOCが謝罪する事態になりました。
【批判を受けた演出】
・ダビンチの「最後の晩餐」のパロディー
・最後の晩餐の食卓に現れた【青い裸のおじさん】
⇨キリスト教への冒涜ではないか
というもの。
その後、
・演出家がどんな意図で作ったものだったのかを釈明
・IOCが公式に謝罪
・「青いおじさん」自らメディアに語る
など異例の事態となりました。
記事では、どんな意図の演出だったのかを書いています。
また、世界中に知れ渡った「青いおじさん」が何を語ったのかに触れています。
自ら語っていますが、
青いおじさんの開会式出演の報酬は200€(約3万円)!
ある意味、話題を呼んだ「印象的な開会式」となった、と言えますね。
マリーアントワネットも衝撃でしたが、
その件は謝罪内容には含まれていなかった。
色々気になるところがありましたよね。
▶︎パリオリンピックの謎!覆面聖火ランナーは誰だったのか?
【パリ2024】「青いおじさん」演出で批判殺到しIOCが謝罪した
パリ五輪の開会式が、セーヌ川を舞台に行われたことは大きな話題となりました。
特定の宗教や歴史的出来事を風刺したと受け取られ、
多くの批判を集めました。
大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)が謝罪する事態に至りました。
開会式の問題となった演出は、
「最後の晩餐」と「青いおじさん」
(マリーアントワネットもあったけど、今回の謝罪には至ってないw)
開会式のクライマックスで、
レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」を彷彿とさせるシーンが披露されました。
このシーンでは、
・冠を被った女性とともに派手な女装をした
ドラッグクイーンたちが食卓を囲んで登場
・食卓に裸の青い男が寝そべって登場
⇨キリスト教徒、特にカトリック教会から
キリスト教に対する愚弄と冷笑と受け取られ、大きな反発を招きました。
カトリック教会の反応は迅速で、
「深い遺憾の意」を表明。
特にキリスト教の象徴である「最後の晩餐」の場面を風刺したことが、
信仰を持つ人々に対する敬意を欠いた行為と見なされました。
謎の「青いおじさん」は誰なのか
強烈なインパクトを与えた「青いおじさん」は
フランス人歌手のフィリップ・カトリーヌさんです。
一体何者なのか?
何かしら歌ってたよね?
どんな人?
フィリップ・カトリーヌ(Philippe Katerine)は、
フランスのシンガーソングライター、俳優、作家として知られています。
1968年生まれ(55歳)
ユニークなスタイルと風変わりなパフォーマンスで
フランスでは知名度も高く、人気を博しています。
・音楽
1990年代から始まりポップ、ロック、エレクトロニカなど多岐にわたるジャンルで活動。
⇨独特のユーモアと風刺を含む歌詞が特徴
・俳優
カトリーヌは映画やテレビドラマにも出演しており、俳優としての評価も高い。
「Nu」を開会式で歌った理由
「Nu」(裸)という曲は新曲で、カトリーヌの作品らしさの現れた作品となっています。
この曲には、独特のスタイルとメッセージ性を象徴しており、
自由で解放的をテーマとしています。
歌詞には「平和」のメッセージが込められており、
昨今の世界情勢に感化されて作ったものだと説明している。
Il n’y aurait pas eu des guerres si on était resté tout nu
Non
引用:Nu Phillipe Katerine
日本語訳:
もしみんなが裸だったら戦争は起こっていただろうか
いや起こっていなかった
▷歌の歌詞全編を知りたいマニアックな方wは、こちらから
トリコロールパリさんが
日本語訳付きの歌詞を載せてくださっています。
フィリップ・カトリーヌはフランス国内で人気のあるアーティストです。
今回の開会式でファーストコンタクトの方は「え!人気者だったの!」
と思われるかもしれませんが、独特のキャラクターとパフォーマンスでフランスではファンが多いです。
⬇︎MVでももちろん裸
【演出家の釈明】 寛容さと交わりを表現するものだった
開会式の演出を担当したフランスの舞台芸術家トマ・ジョリー氏は、
「我々の共和国の価値観である『自由、平等、友愛』を確認することが狙いだった」と述べました。
・演出が「最後の晩餐」に着想を得たものではない
・ギリシャ神話の豊穣と酒の神ディオニソスだった(青いおじさんのこと)
⇨青いおじさんはフランスが誇るワインの文化とセーヌ川にゆかりのある女神セクアナの父であることを表現しようとしたと説明
また裸という設定は、
五輪の起源である古代ギリシャの競技会のイメージが背景にあるとも説明。
絵画などで見るこれらの競技会の参加者も衣服を身に着けていないから
⇨「寛容さと交わり」を示すことが目的だったと強調
IOCの謝罪は異例の対応
パリ五輪の広報責任者アンヌ・デキャンプ氏が公式に謝罪。
「私たちにはいかなる宗教団体や特定の信念を軽視する意図はない。
あれは寛容さと交わりを示すものだった。
もしも、開会式で傷ついた人々がいるのなら本当に申し訳ない」と謝罪しました。
ドラァグクイーンのコメント
演出がイエス・キリストを茶化すものではなく、
新しい視点を提供するものであり、LGBTQやドラァグに対する社会の偏見が反発を引き起こしていると指摘しました。
⇨パフォーマンス後は出演者のSNSに批判や誹謗中傷が集まる事態になっている
個人的には、リアルタイムで見ていた時に多様性を無理やり強調している感じにも見えたかな..。
青いおじさんも謝罪
"Je demande pardon si j'ai offensé. Les Chrétiens du monde me l'accorderont, j'en suis sûr."
— CNN France PR (@CNNFrancePR) July 29, 2024
Philippe Katerine s'excuse après la polémique liée à sa prestation à la cérémonie d'ouverture des Jeux Olympiques #Paris2024. Interview par @SaskyaCNN. pic.twitter.com/N9uZ1lg5jB
引用:X CNN France
「もし傷つけてしまったならお詫びしたい」とインタビューに対して謝罪のコメントをした。
・「最後の晩餐」に似ているとの批判について「宗教的な誤解」であり、意図的な冒涜ではなかった
・キリスト教の赦しの教えに触れ、世界中のクリスチャンに赦しを求めた
▷フィリップ・カトリーヌが開会式について語ったインタビュー(動画と日本語訳)
フランスのメディアKonbiniに
今回のパフォーマンスについて単独インタビューを受けました。
トリコロールパリさんが日本語訳をつけてくださっています。
「謝らない」で有名なフランス人が謝るのは相当なお叱りがあったのかもしれない...
▶︎フランス人と会話する時には...
開会式は成功だったのか?フランス国内の反応
フランス国内では、開会式の演出について賛否が分かれました。
世論調査によれば
・開会式が「成功した」:85%
・セーヌ川を会場にしたこと:「良かった」83%
自己肯定感高め!
一方で、特定の演出については強い反発の声も上がりました。
宗教的な象徴を風刺する演出=「表現の自由」として受け入れる人もいる一方で、
信仰を持つ人々にとっては冒涜と感じられることもあります。
意外にも、最新の世論調査では「宗教は持たない」と答える人が51%で
宗教に対する関心や敬意が薄れていることが背景にあるフランス社会です。
マリー・アントワネットの生首演出にも驚きましたが、IOCが謝罪する部分には入っていませんでした。
フランスは何かと、表現の自由を尊重しますが、
宗教や歴史に対する敬意のバランスを取ることは実際難しいですね。
少なくとももの強烈なインパクトで、記憶に残る演出だったとは言えますね。
参考:
本日もお読み頂きありがとうございました。